技術も法律も倫理もカネも。
3回目の「どーなのよ日本のメディカル」は、三菱総研でバイオメディカル系のコンサルタントをしている冨田さんにお話を伺いました。
シンクタンクと呼ばれる三菱総研ですが、いったい何をやっている会社なのでしょう。
会社案内には「未来社会を構想し、未来社会への路を示し、実現する」と書いてあります。
個人の未来を予測するのは、占い師や霊能者で、ふつうはなかなか当たりません。
でも、個人の集合体である社会や経済活動は予測できる、ということなのでしょうか。
* *
―未来予測の基本といえば、経済成長率かもしれません。三菱総研の予測は、当たるんですか?
けっこう当たりますよ。
ちなみに弊社が出している「2008・2009年度の内外景気見通し」(2008年5月改訂)で、08年度の実質成長率は1.4%、09年度も1.4%と予測しています。
(政府は、7月22日に公表した政府経済見通しで2.0%から1.3%に下方修正しましたから、三菱総研の当初の予測に近づいてきているのかもしれません)
―では経済学系の研究員が多いんですか?
8割近くが、自然科学系、残りが経済学を含む社会科学系です。
つまり理系中心の陣容で、様々な分野の予測をしているということです。
冨田さんも、たしか生物物理のマスターご出身ですよね。
なにをやってらっしゃったんですか?
―筋肉等のタンパクの動きの解析等をやっていました。
ミリ秒からナノ秒オーダーで計測する装置の開発でしたね。
―三菱総研の研究員としては、その生物系の専門性をどんなふうに生かしているんですか? 経済予測ではないですよね。
バイオ、医療系の研究開発をベースにした事業の支援が多いですね。そのためには、新技術が社会で受け入れられるかどうか、制度や倫理面での問題がないか、費用負担に問題がなく市場が形成されるかどうかといった課題を検討します。
医薬品や医療機器が承認され、市場に投入されるまでには、当然、研究以外の様々なステップが必要で、動物での前臨床試験やヒトでの臨床治験、厚生省への申請と承認、販売といったプロセスが必要です。
遺伝子診断を例にとると、技術的な問題以外に、倫理的に許されるかとか、費用負担をどうするかとか、様々な問題が起こってきますから、当事者の企業だけでは対処できないんですね。そういったことをトータルに考え、事業として成り立つのかを調査し、支援します。
―本も書いてらっしゃいますよね。
三菱化学生命科学研究所と共同で出した
「バイオ・ゲノムを読む事典」(2005年)
三菱総研で出した
「三菱総合研究所大予測ゲノムビジネス」(2001年)
「徹底予測これが新成長ビジネスだ!―日本をリードする55のフロンティア」(2007年)
「全予測2030年のニッポン―世界、経済、技術はこう変わる」(2007年)
の一部を書いてもいます。
バイオを含めた医療分野では、ヒトゲノムや再生医療等次々に新しい技術が出てくる一方で、高度な医療を実現するための費用負担をどうするか、個人情報や生命倫理への対応をどうするかといった課題が次々出てきます。事業化においても、産学連携、バイオベンチャーの活用といった仕組みが必要ですが、資金的な面も含めて日本では十分に機能しているとはいえません。
企業の新事業を支援する立場に立ちながら、未来の医療や健康のあるべき姿、制度的な面、患者さんや生活者の立場を視野に入れて、コンサルや調査をするのが私たちの仕事と考えています。現実にはなかなか難しいですが。
専門性が必要な場合は、三菱総研の他部署の人材を活用するのみでなく、外部の専門家を活用することも多いです。技術開発、制度への対応、資金調達、アライアンス、市場性分析、事業化と検討すべき点が多いので、多様な人材が必要です。私たちの仕事自体がオープンイノベーションを求められるようになっています。そのため、会社外での医療、バイオ系の方との交流も多いです。
―日本のメディカルが、産業として成り立ち、成長していくには、何が必要だと思いますか?
非常に難しい問題ですね。日本は経済成長と連動した国民皆保険制度、平等な医療で、関連業界も成長してきました。しかし、高齢化と成長率の低下、一方でグローバルな競争の激化という現実があります。国内市場で外資系企業のシェアが高まる一方で、日本の企業も海外での臨床開発、生産、市場展開を加速しています。国民皆保険でベースとなる医療の質を確保する一方で、高度な先進医療では利用者自己負担、混合診療、民間保険活用も考えていく必要があるでしょうね。臨床開発の注力、ベンチャーの育成とそのための資金が回るしくみの実現も必要だと思います。
* *
個人の未来は、占い師や霊能者に。
社会や経済、国の未来は、シンクタンクに。
では、地球の未来は?
それは宇宙人が、M78星雲の宇宙総研に依頼すると思います。宇宙人は、地球を移住先や宇宙市場の一部と考えているでしょうから。ウルトラマンって、その調査結果を受けて、来たんじゃないかしら。
<このブログは、10万円代の自費出版本、3万円代での絶版本の復刊、在庫本のリンク、一般商品の「販売」を行うハイブリッド書店スピークマンがおおくりしています>
![]() |
鳥はなぜ歌う(新思索社)解説書★ジャック・ドラマン■世代を超えて読みつがれる、フランスの鳥文学の名著/すべてが心にくいまでに描き出されている(ロマンロラン) |
スピークマン書店 | 1冊から作るインターネット書店&出版社 10万円代で自費出版、3万円代で絶版本を復刊 |
・価格はモノクロ200頁の単行本のデータ製作例、写真は製本例・購入希望がある度にデータから1冊ずつ製本オンデマンド出版・ご希望の冊数を1200円(著者割引価格)×冊数で製本・配送・もちろんカラー本も製作(カラー本は数十冊単位がお徳です) ・自分の本を販売する個人書店型ホームページ月々1200円あり・主人公の性別や年代、出身地、国籍等で自分の本を探せます。 | |
104-0041東京都中央区新富2-2-5新富二丁目ビル5階 スピークマン書店はこちらです TEL 050-3418-9011 |